忍者ブログ
好きなことを好きなうちに好きなだけ。
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

ミスジョルSS
リハビリがてらちょっとミスジョルのお話を書いてみました。
あんまり考えずに書いたし、久しぶりに小説?を書いたので、読みにくいです^o^
ガキくせぇ文章だなぁ、と暇つぶし程度に読んでもらえば、と思います。



『フィフティーン』



ジョルノ・ジョバァーナはまだ15歳の少年だ。
普通こんな幼い少年に、人は頭を下げて従わないだろう。
しかし彼は大人たちにそうさせる。
ジョルノの絶対的なカリスマ性が大人たちを動かすのだった。
彼は強く、賢く、そして美しい。
ジョルノの瞳を見ると、彼の望みを叶えてあげたくなる、そんな妖しさがある。
ジョルノは上に立つべくして生まれた存在だった。

ジョルノが組織のボスになった後も、ミスタだけは以前のように彼にぴったりとくっついていた。
以前といっても、ジョルノとミスタはごく最近に出会ったばかりだ。
しかし彼らは10年来の友人のように、互いを信頼し合っている。
そして、ミスタはジョルノに心から忠誠を誓った。
ミスタにとってジョルノは人生の全てになっていた。
ジョルノが好きだから彼の側に立ち、彼を支える。
ミスタの頭はいつも単純明快である。

***

ミスタはいつものように仕事を終え、いつものようにジョルノのがいる部屋に帰ってきた。
今日の仕事は汚れた仕事だった。
いや、今日に限ったことではないので、ミスタは当たり前に当たり前すぎた。
「ジョルノォ~今帰ったぜェ~」
そしてミスタは当たり前のように、ジョルノがいる部屋の扉をノックもせず開けるのである。
広すぎる部屋には大きなソファーがあったり、とにかく重厚さを感じさせる家具が多い。
しかし必要以上の家具はなく、豪華でありながらも、どこか寂しい印象を受ける部屋だった。
ジョルノは大抵、部屋に入って正面の奥にある大きな机に向かっている。
なのでミスタがこうして、図々しいしく部屋に入ってくるとすぐに目が合い「おかえりなさい」と言う。
だから、ミスタは目をぱちくりさせた。
ジョルノはいなかった。
「なんだァ?外出か~」
組織のボスともなれば、ジョルノの仕事量は多い。
当然、部屋にこもるばかりではいられなかった。
ミスタは仕方がないと、部屋にずかずかと入っていった。
ミスタは部屋の奥に進んでいたが、突然足を止めた。
「…ジョルノ?」
いないと思ったジョルノがソファーで丸まっていたのだ。
ソファーはちょうど入り口の正面にあり、背を向けていて死角になっていた。
「なぁんだ、いたのかよジョルノ!返事くらいしろよな」
ミスタは丸まっているジョルノの背中に声をかけた。
しかしジョルノは黙りこんでいる。
「な、なんだ…?寝てるのか?」
そっとジョルノの顔を覗き込もうと近づくと、小さな唸り声とともにジョルノの体が蠢いた。
少し震えているようにも、ミスタは思った。
「寒いのか」
ミスタが短く聞くと、そうだと答えるようにジョルノは頭を少し揺らした。
ミスタは大きめの毛布を持ってきて、ジョルノを覆った。
ジョルノはまだ顔をこちらに向けてはくれない。
ただ被せられた毛布をぎゅっと掴んで、毛布に身をくるんでいった。
「なぁジョルノ、どうしちまったんだ」
ジョルノは答えてはくれない。
しかし、そんな聞き分けのない子どものような態度のジョルノに対し、ミスタは苛立ってはいなかった。
むしろミスタはなんだかジョルノ申し訳ない気持ちでいたのだった。
自分は鈍い男だから、知らないうちに彼を傷つけてしまったのかもしれない。
ミスタはそう考えていた。
「なあジョルノォ~……、…ジョルノ?」
ジョルノはまた答えない。
だが肩を震えさせていた。
「ジョルノ、どうした?まだ寒いのか?待ってろ、もう一枚毛布を…」
言い終わるより先に、ジョルノはミスタの腕を掴み、ミスタが毛布を取りに行こうとするのを止めた。
体勢が変わって、毛布の隙間から見えたジョルノの顔は真っ赤で、泣いていた。
「ジョルノ!どうしたジョルノ?!」
「ミスタ、ミスタ…」
ジョルノは消えそうな声でミスタを呼び、彼にすがりついてきた。
ミスタはそんなジョルノにどうしたんだと声をかけながら、優しくジョルノを受け入れ抱きしめた。
「ミスタ、ミスタ、ごめんなさい…」
「ジョルノ…?」
ジョルノは子どものように、ぼろぼろと涙をこぼしていた。
拗ねたり、泣いたり、今日のジョルノは忙しい。
ミスタは頭の隅でそんなことを考えながら、ジョルノの背中をあやすように叩いた。
「ミスタ、ごめんなさい。僕はとても最低な人間なんです…」
「そんなことない。ジョルノ、お前は立派だぜ」
少なくとも、15歳当時の俺より。
それは言わないで、ミスタの心の中だけで呟いた。
「ミスタ、君は優しい。僕は君が好きです、愛してます」
「ああ、俺もだぜ。ジョルノ」
「でも、だから、僕は、あなたがいなくなる日が怖いです」
言葉を失った。
ミスタは名前も囁けなかった。
ジョルノはパッショーネのボスである。
組織の頂点に立つ者は、恐怖という言葉と縁があってはいけない。
これから先、どんな汚い仕事しないといけないか分からない。
どれだけの部下を失って、自分を削っていくか分からない。
部下を失うこと、自分がすれていくことを悲しいと思うことは構わない。
だが「恐怖」してはいけない。
「恐怖」は迷いを生む。
まあ、そんなことはジョルノは当然、ミスタもよく分かっていた。
ミスタがショックを受けたのは、ジョルノに「ミスタは死ぬかもしれない」と思われたことだった。
だが、言葉を失うというのは、ショックだけだったからではない。
ミスタはどこかで安堵と喜びを感じて、そんな自分に嫌気を感じて、言葉を選び、結局選ばず答えれなかった。
「ミスタ、ごめんなさい…僕はあなたを信頼しています。でも怖いです…あなたがいなくなったら僕は、1人だ」
ジョルノの世界には、自分とミスタしかいなかった。ネアポリで汚い裏社会を見て育ち、裏社会の男に救われたジョルノ。
彼に憧れを抱き、この社会を清浄したいという気持ちはある。
嘘ではなく、本心から。
そんなジョルノについていく、心酔的な部下はたくさんいる。
だが、ジョルノは不安だった。
「彼らのことを疑ってしまう…僕に不満があって当然だ。でもミスタ、君がいるから僕は………僕は、」
ジョルノは不安だった。
いきなり、多くの人間の頂点に立ったことが。
部下たちが自分に従ってくれることが。
自分の命令で命を消すことができることが。
ミスタを失うことが。
「…ああ、あぁジョルノ」
ミスタは強くジョルノを抱き締める。
「俺は死なないから、お前が死ぬまでしなないよ」
約束なんてできないことだった。
ジョルノも分かっているはずだった。
自分がミスタにやらせている仕事について、どれほど危険な任務なのか。
だがジョルノはミスタの嘘が嬉しかった。



ジョルノ・ジョバァーナはまだ15歳の少年だった。

PR
COMMENT
Name:
Title:
URL:
Message:
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Pass:

| prev | top | next |
| 381 | 380 | 379 | 378 | 377 | 376 | 375 | 374 |
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
忍者ブログ  [PR]
  /  Design by Lenny